鍼灸医院開業のためのポイントは?注意点も踏まえて解説

2021.7.29

鍼灸院を開業するためには、鍼灸師の資格を取ったあとに得られる開業権が必要となります。
鍼灸師の国家資格を取得した人にとって、医院開業は大きな目標でしょう。
開業権を得て、資金繰りや建物の目処が立てば開業は可能となりますが、店舗があるエリアの都道府県知事への届けが必要となります。
このような流れを知っていても、いざ開業の準備をするとなるとわからないことが多くてスムーズに前進できないといったケースも少なくはないでしょう。
特に、鍼灸医院は一般的なクリニックとは開業方法が異なるため、しっかりとリサーチをした上で開業しなくてはなりません。

本記事では、鍼灸院開業のためのポイントや注意点を解説します。
開業する前にきちんと準備をして、夢の開業を成功させましょう。

鍼灸の開業資金

鍼灸医院の開業資金は、新たに物件を建てるか、賃貸にするかによって異なります。
賃貸の場合、300~500万円程度が一般的に必要とされる費用です。
新たに物件を建てる場合は、エリアや坪数によって必要資金が異なります。

とはいえ、設備費や広告宣伝費などはどのようなスタイルの開業でも変わりません。
一般的に必要とされる開業資金の内訳を紐解いていきましょう。

設備

鍼灸医院を開業するにあたって、法律で決められているのが消毒設備です。
手洗い場はもちろん、消毒用の特殊な機材も必要となり、消毒設備だけでも30~100万程度するといわれています。

また、鍼を使うため、感染性廃棄物を入れておくゴミ箱も必須です。
そのほか、施術台や待合室に使う椅子、受付台など細々としたアイテムも、リストアップして忘れないようにしましょう。

システム

予約を受けるためのシステムや会計用のレジなどを用意することもポイントです。
以前は、手書きでの予約管理やシンプルなタイプのレジが主流でしたが、最近は、オンライン上のシステムを使うケースが増えています。
そのため、システム構築をするための費用も必要となります。
自分でできる場合はコストを抑えることができますが、外注する際には10万円以上かかる可能性もあるでしょう。

人件費

鍼灸医院を開業する人の多くは、別の鍼灸医院で修行を積んだのちに開業します。
そのため、すでにファンが付いている可能性もあるでしょう。
受付から施術まで一人で対応できる場合は問題ありませんが、場合によっては受付をしてくれるスタッフを雇うケースも考えられます。
この場合、人件費も計算しておかなければなりません。

広告宣伝費

鍼灸医院を運営するにあたって、広告宣伝費は欠かせません。
チラシや折り込みだけではなく、看板を立てることも必要でしょう。
また、ホームページを作成することもおすすめです。
鍼灸を必要としている人に、見つけてもらいやすくする工夫をするように心がけましょう。

運転資金

開業してすぐから繁盛すれば問題ありませんが、初めのうちは苦戦することが多いでしょう。
そのため、1~2年程度の運転資金については確保しておくことも大切です。
安心して、軌道に乗せるためにも余裕を持った資金繰りは欠かせません。

鍼灸の平均年収

目標だった鍼灸医院開業を果たしたなら、できれば年収もあげたいと思う人も多いでしょう。
一般的に個人で運営する鍼灸院の平均年収は、700~800万円程度といわれています。
もちろん、技術や工夫によって年収を伸ばすことは可能です。
開業したばかりのうちは、すぐに売り上げを上げることが困難なケースもあるでしょう。
また、従業員として働く場合とは違い、税金の処理や情報を収集するための費用、運営費などの出費も多くなります。
経営についても学びながら、鍼灸院を運営してくことが大切です。

鍼灸の診療報酬

鍼灸医院の場合、保険診療と実費診療の2パターンが考えられます。
そのうち、保険診療が適用されるのは、主に次にあげる傷病だけです。

保険診療が適用される傷病
・神経痛
・リウマチ
・五十肩
・頸腕症候群
・腰痛症
・頚椎捻挫後遺症

また、医療機関での医師における鍼灸施術の同意書も必要となります。
医療機関との併用で保険診療を受けることはできないため、注意が必要です。
この場合は、自費診療となります。

鍼灸の内装や必要な広さ

鍼灸医院の内装を考える上では、決めることやポイントがたくさんあります。
それぞれ紐解いていきましょう。

構造設備基準

鍼灸医院を開業するにあたっては、保健所に対して「施設所開設届出書」の提出をしなければなりません。
また、鍼灸医院の設備には「構造設備基準」が設けられており、以下の項目を満たす必要があります。

構造設備基準
・6.6平方メートル以上の専用施術室を有すること
・3.3平方メートル以上の待合室を有すること
・施術室は部屋の面積に対して1/7以上にあたる面積を外気に開放できること
・施術に用いる器具,手指などの消毒設備を有すること

そのほか、設備に関わる基準以外にも下記の要件が設けられているので注意が必要です。

設備以外の基準
・施術に使用する器具や手指などの消毒設備を用意すること
・施術室と待合室は固定壁で仕切られていること
・ベッドを2台以上設置する場合は、それぞれカーテンで仕切ること

これらの要件のほか、保健所によっては事前相談が必要だったり別の要件を設けられていたりするケースがあるので、事前に確認することをおすすめします。

リラックスできる空間づくり

鍼灸医院を運営するためには、施術者のスキルはもちろんですが、内装への心配りも欠かせません。
鍼灸医院を訪れた人が、リラックスして施術を受けられるように清潔感を保つことが大切です。
また、病院のような堅苦しいデザインや無機質な素材も、鍼灸院の内装としては向いていないでしょう。
できるだけ落ち着いた空間にするためには、事前のコンセプトづくりが大切です。

開放感を意識する

鍼灸医院の多くは、施術者と利用者がマンツーマンで過ごすことになります。
できるだけ安心して施術が受けられるように、圧迫した空間は避けた方が無難でしょう。
例えば、空間があまりにも狭すぎると、施術台や家具で埋まってしまい圧迫感を感じてしまいます。
人間は、開放感がありゆったりとした空間でリラックスしやすいため、家具の高さや施術室の区切り方などに注意を払うようにしましょう。

明るさを意識する

鍼灸医院に限らず、照明は内装における大きなポイントとなります。
受付が暗すぎると入った瞬間に不安を与えかねません。
一方、施術室は直接照明だと眩しすぎてリラックスできない可能性があるでしょう。
そのため、施術室は間接照明をうまく活用して、温かみのある空間を演出することが大切です。
大掛かりな内装の方に注力しがちですが、細やかな照明についても空間ごとに配慮して選ぶように心がけましょう。

開業立地のポイント

鍼灸医院を開業するには、立地についても意識しておく必要があります。
開業するエリアにおける人の流れは、事前に把握しておかなければなりません。
例えば、夜遅くまで営業しようと考えている場合は、仕事帰りの人が立ち寄りやすい立地がベストでしょう。
一方、女性をターゲットにするのなら、住宅地に近いところがおすすめです。
また、落ち着いた空間にするためには、できるだけ静かなエリアを選んだり、隠れ家的な場所を見つけたりするのもよいでしょう。

スムーズな鍼灸医院開業のためにはプロのサポートも必要

いかがでしたでしょうか。
この記事を読んでいただくことで、鍼灸医院開業にあたっての必要なポイントがおわかりいただけたと思います。
鍼灸医院をスムーズに開業するためには、自分一人で開業準備をするのではなく、プロや仲間のサポートが大切です。
特に、法律に関する部分はプロの意見を取り入れて、間違いのないように気をつけましょう。

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