安定した経営のために目指したいクリニックの患者数と収入のポイント
2022.4.1
これからクリニックの開業を検討しているのであれば、どの程度の患者数が確保できれば安定した経営ができるのかおさえておきましょう。
当然ながら、患者さんが全く来てくれなければ収入がありません。クリニックを継続していくことが難しくなってしまい、閉院のリスクが上がります。
ただ「どの程度患者さんが来れば良いの?」と具体的な数がわからず、悩んでいる方もいるのではないでしょうか。そこで、一日の外来患者数の目安や経営に必要な患者数などについて紹介します。
この記事を読むことにより、医院開業後に目指すべき患者数が分かるので、参考にしてみてください。獲得した患者さんを減らさないためのポイントについても紹介します。
Contents
クリニックにおける患者数と収入の関係について
当然のことながら、クリニックを訪れる患者数が増えれば、収入も増えます。一般的に、内科における1人当たりの診療単価は4,500~5,800円程度とされています。
仮に1人当たりの単価が5,100円としましょう。一日の外来患者数が30人、月に23日診療を行っている場合「30人×5,100円×23日×12カ月」となり、単純計算した年収は約4,200万円です。
仮に一日の患者さんが3人増えたとした場合、年収は約4,600万円になります。一日当たりの違いは小さくても、年間にするとかなりの違いです。この金額から家賃やスタッフへの給料など、その他費用を引いた金額が医師の収入となります。
医院経営で理想的な患者とは
クリニック目線で考えると、一度のみ来院する患者さんよりも、継続して来院してくれる患者さんの方が理想的といえます。一日の来院数を増やしたいと考えた際、新しく患者さんを見つける新規の集客は簡単なことではありません。
クリニックの宣伝を行おうと考えたそれだけ宣伝費がかかります。そうではなく、一度来院した患者さんに対して適切なタイミングで再診を促すなど、再度足を運んでものための対策を考えましょう。
かかりつけ医として認めてもらえれば、体調不良などがあった際に真っ先に相談することを想定してもらえます。
医院における一日の外来患者数の目安
医院の外来患者数の目安としては、閑散期が25~30人程度、それ以外の時期は40~50人程度とされています。もちろん、これはクリニックによって大きな違いがあります。
クリニックの規模によっては一日の患者さんが50人を超えることもある一方、10数人程度しか患者さんが来院しないクリニックも多いです。
開業後に経営していくうえで必要な患者数
クリニックを開業したとはできるだけ患者さんを集めて安定した経営を目指していく必要があります。そのため一つの目安として、人件費・医薬品費などの合計は、年間にして4,000万円ほどです。
そのため、最低でも4,000万円以上の収入が得られるように経営していくことを考えなければなりません。前述したように、患者さん1人当たりの単価を5,100円とした場合、月に23日営業するクリニックなら、日に30人ほど患者さんが来れば年収4,000万円を超えることになります。言い換えれば、日に30人ほどではギリギリということです。
ただ、個人内科のクリニックで平均してみると、年収は7,600万円前後で推移しています。多忙期になると患者さんの数が増えることが関係しているといえそうです。
月による違いも大きいといえます。どの程度患者さんが来れば良いかについては、毎月同じと考えるのではなく、繁忙期、閑散期があることも考慮が必要です。
開業後に患者数を減らさないための方法
せっかく開業したのになかなか患者さんが増えず、困ってしまうことがあります。具体的な対策についてまとめました。
方法1 開業する際に立地にこだわる
患者数が増えない大きな理由の一つとして挙げられるのが、医院開業を行った立地に関係する問題です。これは、たとえ質の高い医療を提供できる準備を整えていたとしても同じことがいえます。
例えば、駅からのアクセスも良好で多くの人が行きかっているにもかかわらず患者数が増えないことがあります。こういったケースでは、周辺に競合があり、ライバルのほかクリニックに負けている可能性が高いです。
特に昔ながらのクリニックがライバル医院だった場合、新規開業をしてそこからお客さんを引っ張ってくるのは簡単なことではありません。
乗り換えたいと思わせる何らかの魅力が必要です。反対に、駅からのアクセスなどが不便でほとんど人がいないような立地で開業した場合はそもそも患者数が少ないので来院数も増えません。一度開業してしまったあとは簡単に移転できないので、どこで開業するのかよく検討も必要です。
方法2 駐車場を用意しておく
たとえ、駅からのアクセスが良好だったとしても、すべての方が電車やバスで来院するとは限りません。車で来院する患者さんのため、駐車場を用意しておくのが理想です。
特に、小さなお子様連れの患者さんや、足腰の弱い高齢者の患者さんは車で来院することがあります。駐車場の数が少なく、いつも埋まっているイメージがあると車で来院予定の患者さんから避けられてしまう可能性が高いです。
方法3 適切な広告活動を行う
よくある失敗が、クリニックを開業しただけで患者さんが勝手に集まると思っているケースです。
開業したことを知ってもらうためには、広告活動が欠かせません。インターネットを活用した方法のほか、チラシやフリーペーパーへの掲載など、オフラインでの広告活動も行いましょう。
特に、新しく開業したばかりのクリニックは、これまでに長年の運営実績があるクリニックよりも警戒されやすいです。どのような魅力があるのかを広く伝えましょう。
クリニック内部の様子についても写真で伝えたり、院長のブログなどでたくさんの情報を発信したりしていくことが重要です。近年はインターネットを活用してクリニックの情報を収集する方が増えました。スマホから見やすいホームページ作りを意識することも欠かせません。
ホームページを作ったらGoogleなどの検索エンジンで上位表示を目指すためのSEO対策も行うようにしましょう。
こちらの記事で、クリニックの集客に効果的なSNSの活用方法をご紹介しておりますので、詳しく知りたい方はこちらの記事をご参照ください。
方法4 かかりつけ医を目指す
安定した経営を目指していくためには、一度きりの来院ではなく、同じ患者さんに何度も足を運んでもらうことが理想です。つまり、患者さんにとっての「かかりつけ医」を目指しましょう。
特に若い方の中には、自分のかかりつけ医がいない方が多いです。年齢が上がるほどかかりつけ医がいる方が増えるので、高齢者の方のかかりつけ医になることは難しいといえます。
ですが、現在のかかりつけ医に不満を持っている方なら、乗り換えてもらえることも期待できるはずです。
かかりつけ医を目指すうえで、患者さんから信頼してもらうことが欠かせません。患者さんから見た際に「困ったことがあったらこの先生に相談すれば大丈夫」と感じてもらうことが重要です。
通いやすいクリニックであるかどうかを重視している方も多いので、あらかじめ立地選びにこだわっておいてください。
方法5 慢性疾患の対応に力を入れる
風邪のような一時的な不調を訴える患者さんは、体調が改善すればクリニックを訪れる理由がなくなります。再診してくれる患者さんを増やすには、生活習慣病などの慢性疾患の割合を増やすのがポイントです。
慢性疾患であれば治療の状況に応じて定期的にクリニックを訪れる必要があります。慢性疾患は、糖尿病のほか、高血圧、不整脈、高尿酸血症、睡眠時無呼吸症候群などさまざまです。
専門的に診察・治療できる疾患があればそれを宣伝し、慢性疾患の患者さんを獲得することが求められます。
それから、話をしっかりと聞いてくれることや、わかりやすく説明してくれることを重視している方もいます。患者さんから相談されたことには親身になって答える、誠意をもって対応することを意識しましょう。
特に治療内容や薬などについては不安を感じてしまう方が多いのです。専門的な知識のない患者さんに対しても伝わるような形で説明しましょう。
医院開業前に準備を整えておくことが大切
いかがでしたでしょうか?医院開業を目指すにあたり、同程度の患者数を獲得すれば良いのか大体の目安について解説しました。目標とすべき人数が見えてきたのではないでしょうか。
クリニックへの来院数を増やすための対策は、できるだけ早くから行っておいた方が良いです。プラザ薬局では、集客も含めてクリニックの開業をサポートしています。
資金面に関することや、税理士の紹介なども行っているので、困ったことがある際にはご相談ください。
また、当サイトでは医院開業を目指す方へのコンサルティングや、医院開業物件をご紹介しております。
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