医院・クリニックの開業に失敗した事例や原因を紹介
2022.2.1
医院・クリニックの開業失敗の原因は、開業後だけでなく、開業前の行動や考え方にもあります。
どのように経営していけば失敗せずに済むのか、具体的なテクニック・コツを知りたいと思う方は多いです。
そこで本記事では開業に失敗しないように対策をしたい方に向け、失敗した事例や失敗の原因、成功する医院との違いについてご紹介します。
ぜひ参考にしてください。
ではまずは医院経営が失敗した事例について見ていきましょう。
Contents
医院経営が失敗した事例
医院・クリニックを開業するのは少なからずリスクを伴います。
ここでは、医師が医院の経営に失敗した以下の3つの事例をご紹介します。
- 評判作りに失敗した
- スタッフとのトラブルが多く入れ替わりが激しかった
- 教育制度がなく患者さんに迷惑をかけた
以降で詳しく解説していきますので、みていきましょう。
失敗した事例①評判作りに失敗した
医師が医院の経営に失敗した事例1つ目は、「評判づくりの失敗」です。
勤務時代に持っていた「診療をしてあげている」という意識が開業後も続き、患者への対応がよくないと評判が回ってしまったケースです。
勤務医として働いている時は集患を考えることもなく、おのずと患者さんが集まってきますが、医院を開業してまもない時は、そうはいきません。
とくに開業してからまもないときは、良い口コミを広げてもらったり、宣伝をしたりして患者さんに来てもらわなければなりません。
しかし、そのような重要な期間で良くない口コミが広がると患者さんの来院は難しくなり、結果、廃業になるケースもあります。
良くない評判や口コミは払拭するのが難しいため、最悪の場合、3年以上かかることもあります。
近年デジタル化が進み、SNSを活用した集客も効果的になっています。
とくに若年層を集客するためには、SNSの上手な活用が重要となります。
詳しく知りたい方は、こちらの記事をご参照ください。
失敗した事例②スタッフとのトラブルが多く入れ替わりが激しかった
医師が医院の経営に失敗した事例2つ目は、「スタッフとのトラブルによる失敗」です。
院長一人で経営するのは難しいため、ほとんどの医院では受付業務や助手、看護師などを雇っています。
しかし、中にはスタッフとの仲が良くないことから喧嘩やトラブルが絶えず、スタッフの入れ替わりが激しい医院やクリニックもあります。
医院内だけの話だと思うかもしれませんが、患者さんは病院の人間関係の良さや悪さ、スタッフの顔色や行動などよく見ているものです。
スタッフ同士や院長との仲が悪い状況を見ると、患者さんの立場からするとあまり良いイメージをもてません。
結果、離れていく患者さんが増え、経営が赤字になることもあります。
失敗した事例③教育制度がなく患者さんに迷惑をかけた
医師が医院の経営に失敗した事例3つ目は、「教育制度を作っていなかったことによる失敗」です。
医院の経営で必要なのはお金の管理や医療行為だけでなく、スタッフのマネジメントも重要です。
しかし、スタッフを雇ううえで重要な教育制度を作っていなかったために、患者さんに迷惑をかけたケースがあります。
例えば、診察券や保険証の扱い方、レセプトの作り方、電話対応の方法など教育が行き届いていない状況は、患者さんとのトラブルになりかねません。
このような業務上のミスは、患者さんからの信頼をなくす行為につながります。
医院経営が失敗する原因
医院経営が失敗するのには、失敗する何かしら原因が存在します。
医師が医院経営を失敗してしまう主な原因には以下の6つが挙げられます。
- コンセプトのブレ
- 経営知識がないまま開業する
- リスク対策ができていない
- リサーチ不足
- スタッフの教育やコミュニケーションの不足
- 集患力の不足
以降で詳しく解説していきますので、みていきましょう。
失敗する原因①コンセプトのブレ
医院のコンセプトにブレがあると、開業時や物件の選定も進まなくなり、開業後は患者さんのターゲットにブレが生じ、経営がうまくいかない傾向にあります。
例えば、在宅医療をコンセプトに開業するのか?それとも医院に来てもらい患者さんを診るのか、によっても診療方針やターゲットなどまったく異なります。
開業する前に、何のために開業するのか、どのような医者になりたいのか、などコンセプトを決めておきましょう。
失敗する原因②経営知識がないまま開業する
医院の経営には経理や労務、マネジメントなどのさまざまな知識が必要ですが、医師に経営の知識がないことも少なくありません。
しかし、知識がないまま経営をするのは廃業になるリスクがあるため、避けましょう。
失敗する原因③リスク対策ができていない
売上が低下した際のリスクや院長が体調不良で働けなくなった時のリスクなど、対策ができていないことも経営の失敗につながります。
院長の代わりに働けるような医師の採用や、災害や火災保険に入るなど、リスクの対策をしておきましょう。
失敗する原因④リサーチ不足
医院を開業するのであれば、開業予定の土地の地域性や、年齢層、考えられそうな患者さんのニーズなどをリサーチする必要があります。
自身の医院のコンセプトがその開業候補の土地と合っているかの確認は、経営を続けていく中で非常に重要です。
少しでもズレがあれば、患者さんの集患が見込めず、結果経営が立ち行かなくなります。
また、近くでライバルになりそうな医院がないかのリサーチも必須といえます。
競争が激しいと、集患が難しいためです。
失敗する原因⑤スタッフの教育やコミュニケーションの不足
事例でも紹介しましたが、スタッフの教育に時間が取れないまたはコミュニケーションが不足していることから、早期退職や患者さんとトラブルになる可能性があります。
スタッフ教育のマニュアルやこまめなコミュニケーションを図り、働く環境を整えましょう。
失敗する原因⑥集患力の不足
経営を続かせるためには、患者さんに来院してもらわなければなりません。
例えば、Webサイト(ホームページ)を作成していない、SNSやLINEの公式アカウントを作成していないなど、宣伝が弱ければ患者さんに知ってもらう機会がなく、新規患者さんを獲得することはできません。
バス内の広告や看板の作成、Webサイトなどを作成し、医院の存在を知ってもらえるようにしましょう。
また、医院の近くの電柱に広告を貼るのも知ってもらえるチャンスになります。
成功する医院との違い
では、成功する医院と失敗する医院の違いには何があるのでしょうか。
成功している医師には以下の主に3つの特徴があります。
- 雇われ院長を経験している
- 経営者の自覚を持ちマネジメントができる
- 柔軟な考えをもって対応している
上記3つは、経営に必須のスキルです。
もちろんそれ以前に医師としての実力が申し分ないという前提があります。
お金の管理や周り方への理解を深め、また経営者としての自覚を持たなければ、経営はうまくいきません。
そして、トラブルが起こった際、解決に向けての対応や責任も開業医にあります。
トラブルが起きた際、柔軟な考えを持って対応できるスキルは、やはりもっておきたいところです。
開業医が知っておくべきこと
開業医が知っておくべきことは「働き方改革」です。
開業医は勤務医と違い、自身だけでなくスタッフのシフトも管理しなければならず、働き方改革の内容を知らずにいると、法に違反してしまう恐れがあります。
この項目では働き方改革の内容や違反した際のリスク、そしてリスク対策についてご紹介します。
働き方改革の内容は以下の通りです。
- 時間外労働の上限規制(月45時間、年360時間が原則)
- 年次有給休暇の確実な取得(年5日の有給取得の義務化)
- 中小企業の月60時間超の残業の割増賃金率を引き上げ
- 割増賃金率(50%)の猶予廃止
- フレックスタイム制の拡充
- 高度プロフェッショナル制度
- 年収1075万円以上の高度専門職を対象とした制度(現時点で勤務医は対象外)
- 産業医・産業保険機能の強化
- 勤務間インターバル制度の導入促進
- 前日の終時刻と翌始間に一定休息時間を確保
- 正規雇用労働者と非正規雇用労働者の間の不合理な待遇差の禁止
上記のルールが守られない場合、開業医は多額の罰金を支払わなければなりません。
健康管理や福祉を意識したシフト作りやスタッフ一人ひとりの負担がかからないシフト作りを行い、働き方改革の内容を遵守しましょう。
医院・クリニックの開業の失敗は開業前から対策できる!
今回は医院クリニックの開業の失敗事例や原因についてご紹介しました。
失敗の事例や原因にもある通り、開業後の行いだけでなく、開業前の準備段階から失敗につながる行動があります。
医師や開業医としての意識だけでなく、経営者としての意識を持つことで失敗を避けられます。
ぜひ今回ご紹介した医院経営が失敗する原因を参考に、失敗しない経営体制を整えてください。
しかし、経営の知識や働き方改革などの対策については、一人では難しいこともあるでしょう。
そのような場合はプロに相談することも大切です。
プラザ薬局では、開業を目指す医師に、アドバイスをする支援サイトを設けています。
お問い合わせやご相談、物件探しのお手伝いもできますので、お気軽にご相談ください。
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