クリニックを二人で共同経営する医院開業方式のメリット・デメリット

2022.4.1

医院開業を考えている方に向けて、クリニックを共同経営するメリットとデメリットについて解説します。

 

単独ではなく二人で医院開業ができれば、自分に足りないものを補ってもらえそうで魅力的だと感じられるでしょう。

確かに共同で医院開業をすることには多くのメリットがあります。

しかし反面、デメリットがあることも事実です。

共同での医院開業を検討されているなら、メリットだけでなくデメリットも知っておくことが後のトラブル回避につながります。

 

そこで今回の記事では、クリニックの共同経営の基本と、メリット・デメリットを解説します。

記事を読んでいただくことで、二人で医院開業をすることの魅力だけでなく、問題になり得ることもご理解いただけるはずです。

 

クリニックは共同経営が可能?

 

クリニックでは共同経営ができます。

資金・役割・決定権・報酬についてあらかじめ決めておけば、問題なく共同経営ができるようになります。

単独で医院開業をするよりも、共同経営をしたほうがビジネスの幅は広がるものです。

ただしクリニックの場合、二人で医院開業をしたとしても、院長になれるのは一人だけとなります。

 

そのため共同経営者のうち一人だけが、開設管理者となる必要があるのです。

通帳の作成や賃貸借契約、医療機器の購入などはすべて開設管理者の名前のもとに行われます。

しかし報酬と税務申告を共同経営者の人数で割れば、実質的にクリニックを共同経営することは可能です。

 

二人で医院開業をするメリット

 

それでは二人で医院開業をするメリットについて見ていきましょう。

 

メリット1:人材の確保が可能

 

二人で医院開業をすると、人材である「医師」の確保ができます。

共同経営者が医師であれば、医院開業時点から二人の医師が存在することになるからです。

紹介会社などから医師の紹介を受けると、採用のために300~400万円ほどの紹介料を支払わなければなりません。

しかし共同経営であれば、医師を紹介してもらう必要がなくなり採用コストが軽減されます。

クリニックの共同経営では、人材である医師を確保できることから初期費用が低くなることがメリットです。

 

メリット2:報酬アップ

 

報酬アップが期待できることも、共同で医院開業をするメリットです。

単純に計算をすると、医師が二人いれば二倍の患者を診られるようになります。

もし違う診療科目の医師と共同経営をするなら、「内科」と「心療内科」、「外科」と「小児科」など、異なる診療科目を設置して診療範囲を拡大することもできるでしょう。

すると患者の幅も広がり、一人で経営するよりも報酬が増えると考えられます。

もし同じ科目の医師と共同経営する場合でも、回転率上昇や診療時間の拡大による報酬アップが期待できます。

クリニックの共同経営では、以上のように医院あたりの報酬がアップする可能性があることがメリットです。

 

メリット3:経営不能の危険性回避

 

経営不能の危険性を避けられることもクリニック共同経営のメリットと言えます。

一人で経営している場合、体調不良や病気などで経営不能になる可能性もあるでしょう。

しかし二人で医院開業をする場合、たとえ一人が体調不良で診療できなくなっても、もう一人が医院経営を続けられます。

特に開業したばかりのころは、スタッフ数が少なく経営者の責任が重くなりがちです。

万が一の際にも経営不能に陥らないことは、クリニックの認知度と報酬を確保する上で大きなメリットとなります。

 

メリット4:客観性とコネクションの取得

 

共同経営には客観性とコネクションを取得できるメリットもあります。

単独経営では経営者の主観による経営になりがちです。

同経営者の意見を参考にすることで、客観的な判断ができるようになることもメリットです。

またコネクションも経営者だけのものとなるでしょう。

しかし共同で医院開業をすれば、二人分のコネクションが得られます。

客観性が得られることとコネクションが増えることは、経営の健全性と新たなチャンスを得るために有利となります。

 

二人で医院開業をするデメリット

 

次に二人で医院開業をすることのデメリットについても見ていきましょう。

 

デメリット1:経営難の危険性

 

まずは経営難に陥る危険性が高まることがデメリットとなります。

医師が一人多くいることは、単独でクリニック開業をするときより人件費が多くかかることを意味します。

もし単独経営なら、開業したばかりのころに患者数が少なくても院長の収入にしか影響がありません。

しかしクリニックを共同経営するとなると、院長にならなかった共同経営者は雇用されている医師となります。

雇用されている医師には、毎月一定の報酬を支払わなければならず支出が増えるのです。

共同経営者から報酬減額の合意が得られれば問題ないでしょう。

しかし合意が得られなかった場合、医院が経営難に陥る可能性が高くなります。

 

デメリット2:経営方針の違い

 

共同経営者がいる場合、クリニックの経営方針の違いが問題となることもあります。

医院開業をした二人の意見が一致しない場合、医院が分裂することも考えられるためです。

二人の意見が一致しているなら問題ありませんが、将来的に医院が分裂して派閥が生まれる可能性もあります。

また方針の違いにより、経営に関する意思決定が遅れがちになることも問題です。

共同で医院開業を行う際には、経営方針の違いが起こる可能性があることも視野に入れて検討しましょう。

 

デメリット3:報酬の分配問題

 

共同経営では報酬の分配問題が起こり得ることもデメリットです。

医院への貢献の度合いを正確にはかり、報酬へと反映させることは簡単ではありません。

たとえば二人で医院開業をする場合、振り込まれた報酬を1/2ずつわけると決めたとします。

しかし明らかに一人の診療時間の方が長くなれば、報酬が1/2では貢献度に値しないと感じられることもあるはずです。

ただもう一人が医院への貢献度は診療時間の長さではないと考えれば、共同経営者間に亀裂が入ることも考えられます。

以上のように医院への貢献度と報酬分配の問題は、クリニックの共同経営でのデメリットになり得るものです。

 

デメリット4:仕事量バランスによる不満

 

共同経営者とは言え医師が二人いるとなると、仕事量バランスによる不満が生まれることがあります。

一人にのみ負担が大きくなると、仕事量が多いことへの不満や、休暇を取りにくいことへの不満が生じる可能性があるでしょう。

そのため共同経営者間の関係性が悪化したり、もう一人に気を使って休暇を取りにくくなったりすることも考えられます。

共同経営をすることには、仕事量の偏りによる人間関係の問題が発生する可能性もあるのです。

 

こちらの記事で、家族経営のクリニックだからこそのメリットと注意すべきデメリットをご紹介しております。

家族経営を考えている方はこちらも併せてぜひご覧ください。

家族経営のクリニックだからこそのメリットと注意すべきデメリット

 

二人でクリニック共同経営をすることにはメリットもデメリットもある

 

いかがでしたでしょうか?

この記事を読んでいただくことでクリニック共同経営のメリットとデメリットがご理解いただけたと思います。

 

プラザ薬局ではクリニック開業に関して、共同経営に関する相談にも親身になって対応いたします。

また、当サイトでは医院開業を目指す方へのコンサルティングや、医院開業物件をご紹介しております。

大阪・兵庫・京都・東京・埼玉・神奈川で医院開業をお考えの方は、プラザ薬局にご相談ください。

医院・クリニック開業支援ならプラザ薬局(大阪・兵庫・京都・東京・埼玉・神奈川)