医院開業時にそろえておきたい医療機器の種類と選び方のポイント

2022.4.1

医院開業を検討しているのであれば、どのような医療機器を購入するのかについても考えておかなければなりません。まとめている機能が搭載された最新の医療機器がすべてあるのが理想ですが、現実的ではないでしょう。

開業資金から医療機器にあてられる費用も人によって異なるため、その範囲内で検討が必要です。

 

そこで「医院開業にあたり導入する医療機器の選び方がわからない」と悩んでいる方のため、先手ポイントを解説します。特に開業資金に余裕がない場合は慎重に検討しなければなりません。

あとからあれが足りなかった、これは不要だったと後悔したくない方のために、おさえておきたいことをまとめました。この記事を読むことにより、本当に必要な医療機器と、選び方のポイントがわかります。

 

医療機器の選定ポイント

医療機器はとにかくさまざまな種類をたくさん用意すれば良いものではありません。早急に必要にならないものは後回しにしても良いでしょう。

特に、稼働率や採算性、経営面などを考慮して選ぶのがポイントです。

 

ポイント1 稼働率や採算性も考慮する

最初に考えたいのが、稼働率に関することです。医療機器メーカーの営業マンから聞いた機器の説明を魅力的に感じて欲しくなり、導入するケースもあるでしょう。しかし、実際には自院ではほとんど使わず、損をしてしまうような可能性もあります。

例えば、確かにあれば便利でも、他の機器で何とかなるようなものについては無理に導入を検討しなくて良いでしょう。特にクリニックの開業前で、具体的にどの程度の患者さんが獲得できるのかわからない場合はなおさらです。

 

次に考えたいのが採算性です。確かに高性能ではあるものの価格が高く、採算性が取れないような医療機器については慎重に検討しなければなりません。価格が安くても利用する機会が少なく、稼働率が低い機器も生産性が高いとは言えないでしょう。

「1ヶ月で○回利用したと考えると○年で採算が取れる」など、具体的な数字を考えて導入を検討する必要があります。この際に入れる数字もデータなどをもとにできる限り現実的な数字を入れることが重要です。

 

ポイント2 経営面から必要な医療機器を選ぶ

どのような医療機器が必要かについては、経営面から見て判断しましょう。まず、必ず用意しておかなければならない器機もあります。

例えば、レセプトコンピューターや電子カルテのほか、一般的な治療に使われる機器などは確実に準備が必要です。近年は予約システムも必須といえるものになってきました。特に患者さんが増えたあと、従来のアナログな予約システムでは古くささを感じさせてしまう可能性があります。

 

治療に必要な機器については、どのような診察・治療を行うのかによって必要なものが変わるので、検討したうえで導入しましょう。

 

クリニックの強みともいえる分野があるのなら、それを活かすための医療機器を取り入れるのもおすすめです。これは、クリニックにとっての付加価値ともいえる部分です。その付加価値が患者さんに認められ、自由診療につなげていければさらなる売上向上も期待できます。

 

診療科目ごとの医療機器選定ポイント

診療科目によっても最初にそろえておいたほうが良い医療機器は変わります。診察用のベッド、コピー複合機などは基本的に用意する形になるでしょう。

内科、整形外科、皮膚科、眼科、耳鼻咽喉科、小児科それぞれの機器選定ポイントについて紹介します。

 

内科

内科の場合、CRやX線装置は必須といえます。そのため、導入について検討しなければなりません。なお、一般的にX線装置は準備に時間がかかる機器であるため、内装設計段階で検討しましょう。また、内視鏡や内視鏡洗浄機なども必要です。

 

心電計について導入を迷ってしまうケースがありますが、それなりの利用が見込まれ、採算が取れることが多いです。場合によっては最初から2台導入を検討しても良いでしょう。

一方、鉄鋼については検査部位と件数を事前に良く考え、導入するか判断しなければなりません。

購入価格が100万円を超えることが多い脈波検査機器については採算性が低いです。最低限の医療機器で開業したいと考えた場合は後から検討することになるでしょう。

電子カルテについては早めに導入を決めたほうが良いです。

 

整形外科

施術台やリハビリ機器は必須です。リハビリ機器を導入する際には、リハビリ室の広さも含めて考えなければなりません。

限られたスペースに置く場合は、どういった組み合わせが理想的なのか担当者と相談が必要です。

 

開業にあたり、ウォーターベッド型のマッサージ機などの導入を検討している方もいるのではないでしょうか。ですが、高額なマッサージ機を買うよりも理学療法士を雇用したほうが評価につながる可能性が高いです。このあたりも含めて検討が必要です。

どの程度のX線装置を導入するか、骨密度測定検査に対応するのかについても検討しましょう。

 

皮膚科

皮膚科の場合、どういった自由診療に対応するかによって必要となる機器が変わります。保険診療にも対応するのであれば、保険診療において必要になる機器から検討したほうが良いでしょう。

自由診療関連の機器にこだわるといくらでも高いものがありますが、まずは最低限の機器から導入したほうが安心です。美容レーザーなどを取り入れる場合はきちんと機器の採算ラインを設定してから考える必要があります。

 

注意点として、特に自由診療の機器は流行が過ぎるのが速いです。そのとき最新の機器を導入して10年で投資回収しようと考えることもあるでしょう。しかし、3年後には流行が過ぎてしまい、利用者がいなくなるようなことも考えられます。

短期間で投資回収が難しいものについては特に注意深く検討が必要です。中には1,000万円するような美容系機器もありますが、初めから無理に導入して失敗することがないようにしましょう。

 

眼科

眼の疾患は非常に幅広く、どの範囲まで診察や治療に対応するのか考えたうえで機器の選定が必要です。幅広くさまざまな疾患に対応するとなれば、専門的な医療機器が必要になります。

まずは、眼疾患の手術に対応するのかから考えましょう。手術を行う場合、2,000万円以上する手術用機器の導入について考える必要が出てきます。手術を行うのであれば行わないケースに比べて坪数も必要になるので、このあたりも含めた検討が必要です。

 

できる限り慎重に検討しなければならないのが、レーシックへの対応です。レーシック手術を行う場合は、必要な開業資金が一気に膨らみます。

さらに、消費者庁からレーシック関連の手術に対して注意喚起情報が発表されたこともあり、患者さんも慎重になっています。

大手のクリニックでもレーシック治療を希望する患者さんを獲得するのが難しい状況です。そのことも理解したうえで本当に手術に対応するか考えましょう。

 

近年は、眼科クリニックの開業数が増えています。そのため、近隣にあるライバル院と差別化をするための医療機器について導入するのもおすすめです。

 

耳鼻咽喉科

ユニットのほか、ネブライザー、聴力検査器、X線装置などの検討が必要です。特にユニットの数については早い段階で確定させておきましょう。

ユニットを検討する際には、ユニットの価格のほか、メンテナンスにかかる費用についても必ず確認が必要です。医療機器とは異なりますが、子どもの診察が多い科目ということもあり、待合室のキッズスペースを充実させるなどの工夫も求められます。

 

小児科

基本的な機器のほか、できれば導入を検討しておきたいのが予約システムです。小さな子どもを連れてクリニック内で自分の番が来るのを長時間待つのは、非常に大変なことといえます。家や車の中で待っていてもスマホに通知が来るようにできれば、順番待ちのストレスもかなり軽減できるでしょう。

 

X線装置については、自身のクリニックでは導入せず、近隣のX線装置がある医療機関に依頼するなどの選択肢もあります。

 

また、医療機器ではありませんが小さな子どもが不安なく治療できるように内装にもこだわったほうが良いです。キッズルームを必須と考える方もいますが、小さな子ども同士が集まって喧嘩をしてしまうこともあります。そのため、あえてキッズルームを作らないクリニックも増えてきました

お子さんを車で連れてくる方が多いので、駐車場スペースについても考えておかなければなりません。

 

医療機器は購入?リース?

医療機器の導入を検討する場合、購入するほかにリースという選択肢がありますが、どちらを選べばよいか迷うこともあるでしょう。

 

そこでここでは、医療機器を購入する場合とリースを行う場合のメリットとデメリットを紹介していきますので、どちらを選べばよいかの参考にしてください。

 

購入のメリット・デメリット

医療機器を購入すれば、自分の持ち物として取り扱えるのが大きなメリットです。そのため、購入した後、長く使えるものであれば多少高額でも購入を検討したほうが良いでしょう。例えば、レントゲン装置などがそうです。

定率法で減価償却するものについては、早期に多くの経費を計上できるメリットも大きいです。

 

デメリットは、初期投資額が多くなることだといえます。限られた予算の中で医院開業を目指している場合、どこまで購入するのかよく考えなければなりません。

割賦購入すればこのデメリットを抑えることも可能です。

 

リースのメリット・デメリット

医療機器の中には非常に高額なものがあり、購入を検討できないケースもあります。そういったものもリースなら検討しやすいのが大きなメリットです。

大手のクリニックの中にも高額な医療機器はリースを選択しているケースはよくあります。

 

デメリットとして、長くリースで利用していた場合、初めから購入していたのと比べると総合的な費用が高くついてしまうことがある点です。また、リースして契約している以上、リースの期間が満了しても所有物にはなりません。

新たなリース契約や購入について考える必要が出てきます。また、特別償却や税額控除などの対象にはなりません。

開業前に必要なものとは…

開業前までに必要な医療機器の揃えておきたいポイントをご紹介してまいりました。

 

医療機器だけではなく、集客をしっかりと行うために必要なポイントがあります。こちらの記事で詳しくご紹介しておりますので、ぜひご覧ください。

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いかがでしたでしょうか?医院開業にあたりどのような医療機器をそろえれば良いのか悩んでいる方のため、選定ポイントなどについて紹介しました。初めからすべての機器を用意するのはなかなか難しい問題なので、慎重に検討が必要です。

あとから失敗したくないと考えているのであれば、プラザ薬局までご相談ください。開業に関して総合的にサポートしています。

 

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