標榜科名を決める際に知っておくべき厚生労働省による4つのルール
2022.4.1
医院の開業を検討されている方に向けて、標榜科名のルールについて解説していきます。
クリニックを開業する際には、診療範囲を示すために「◯◯科」と標榜科名をつけなければなりません。
しかし標榜科名にはルールがあり、間違えると厚生労働省から認められない可能性もあります。
いざ開業しようとして届け出を出したのに、認められなければ開業スケジュールにも支障が出てしまうでしょう。
そこで今回の記事では、日本医師会から提示されている標榜科名のルールについて解説します。
開業するにあたって標榜科名について悩んでいる方、標榜科名のルールを知りたい方にとって役立つ記事となるはずです。
Contents
標榜科名とは
「標榜科名」とは、医院の得意分野のことです。
「内科」「外科」「心療内科」「脳神経外科」「耳鼻科」などの診療科目により、医師の得意分野をわかりやすくしめしたものが標榜科名です。
医師は大学の医学科にてさまざまな医療に関する知識を学びます。
しかしすべての疾患・怪我などを一律に担当することは難しいでしょう。
そこで標榜科名を示して、医師自身の得意分野を伝えるのです。
標榜科名のルール
標榜科名は医師の得意分野を示すものですが、決める際に一定のルールがあります。
2008年に厚生労働省から医療機関における標榜診療科名の見直しが行われました。
クリニックを開業する際には、厚生労働省の通達による標榜科名のルールを把握することから始めましょう。
標榜科名の4つの基本ルール
厚生労働省からの通達を受けて、日本医師会では標榜科名について次のような4つのルールを基本として定めています。
【基本ルール】
- 内科
- 外科
- 内科もしくは外科とその他の事項との組み合わせ
- 単独標榜可能な診療科名
内科と外科を基本として、その他、部位や器官、疾病、病態、患者の特性、医学的処置との組み合わせも可能です。
また単独で標榜できる診療科目についても、同様の組み合わせができるとするのが基本のルールとなります。
内科・外科と組み合わせられる事項について
内科・外科と組み合わせられる事項は、次の4つのパターンにより決められています。
部位・器官・臓器・組織またはこれらの果たす機能 | 頭頸部、頭部、頸部、胸部、腹部、呼吸器、気管食道、気管、気管支、肺、消化器、食道、胃腸、十二指腸、小腸、大腸、循環器、肛門、血管、心臓血管、心臓、腎臓、脳神経、脳、神経、血液、乳腺、内分泌、代謝、脂質代謝、肝臓、胆のう、膵臓 |
疾病・病態の名称 | 感染症、性感染症、腫瘍、がん、糖尿病、アレルギー疾患 |
患者の特性 | 男性、女性、小児、周産期、新生児、児童、思春期、老人、老年、高齢者 |
医学的処置 | 整形(内科との組合せは不可)、形成(内科との組合せは不可)、美容、心療(外科との組合せは不可)、薬物療法、移植、光学医療、生殖医療、不妊治療、疼痛緩和、緩和ケア、ペインクリニック、漢方、化学療法、人工透析、臓器移植、骨髄移植、内視鏡 |
たとえば内科であれば、「内科」と「呼吸器」を組み合わせて、「呼吸器内科」とすることができます。
「整形」と「外科」を組み合わせた「整形外科」はよく見られる例です。
以上のように内科・外科は4つのパターンで標榜科名を組み合わせられます。
単独標榜可能な診療科名について
単独標榜ができる診療科名は次のとおりです。
【単独でつけられる診療科名】
- 精神科
- アレルギー科
- リウマチ科
- 小児科
- 皮膚科
- 泌尿器科
- 産婦人科
- 産科
- 婦人科
- 眼科
- 耳鼻咽喉科
- リハビリテーション科
- 放射線科
- 放射線診断科
- 放射線治療科
- 病理診断科
- 臨床検査科
- 救急科
以上の診療科目においては、内科・外科の標榜がなくても利用できます。
ただし内科・外科と組み合わせたり、内科・外科と組み合わせられる事項との組み合わせも可能です。
矛盾する組み合わせは認められない可能性もあるとされているので、単独標榜可能な診療科名でも組み合わせのルールは守らなければなりません。
矛盾する組み合わせの診療科名
標榜科名を組み合わせる際には、次のような矛盾する組み合わせにならないように注意してください。
内科 整形または形成 外科 心療 アレルギー科 アレルギー疾患 小児科 小児、老人、老年または高齢者 皮膚科 呼吸器、消化器、循環器、気管食道、心臓血管、腎臓、脳神経、気管、気管支、肺、食道、胃腸、十二指腸、小腸、大腸、肝臓、胆のう、膵臓、心臓または脳 泌尿器科 頭頸部、胸部、腹部、呼吸器、消化器、循環器、気管食道、心臓血管、脳神経、乳腺、頭部、頸部、気管、気管支、肺、食道、胃腸、十二指腸、小腸、大腸、肝臓、胆のう、膵臓、心臓または脳 産婦人科 男性、小児または児童 眼科 胸部、腹部、呼吸器、消化器、循環器、気管食道、肛門、心臓血管、腎臓、乳腺、内分泌、頸部、気管、気管支、肺、食道、胃腸、十二指腸、小腸、大腸、肝臓、胆のう、膵臓または心臓 耳鼻咽喉科 胸部、腹部、消化器、循環器、肛門、心臓血管、腎臓、乳腺、内分泌、胃腸、十二指腸、小腸、大腸、肝臓、胆のう、膵臓または心臓
「整形」は「外科」と組み合わせて「整形外科」とできますが、「内科」と組み合わせて「整形内科」にはできません。
小児科と老人、産婦人科と男性など、正反対の標榜も不認可となります。
標榜科名の組み合わせはできますが、不合理にならないようルールに従って組み合わせてください。
こちらの記事で内科の医院開業をするためのポイントと注意点を解説しておりますので、併せてぜひご覧ください。
標榜科名はルールに従って適切に
いかがでしたでしょうか?
この記事を読んでいただくことで標榜科名のルールがご理解いただけたと思います。
もし標榜科名についてお悩みであれば、プラザ薬局が親身に寄り添って開業へのサポートをさせていただきます。
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