医院開業の手順【スタッフ採用】

2021.12.10

 

医院開業において、ほとんどのケースでは先生ひとりでは運営できません。

看護師や医療事務など、一緒にクリニックを支えてくれるスタッフを雇うことが大切です。

スタッフは開業初日から必要となるため、開業予定に合わせて人材採用も計画的に行っていく必要があります。

計画的な人材採用により、優秀なスタッフと共に働ける職場を作っていきましょう。

ただし、いきなり「人材採用」といわれても、何から始めるべきか戸惑うことも多いことが予想されます。

そのためこの記事では、医院開業時のスタッフ採用に関して、流れやポイントなどを開設します。

 

必要人数の策定

 

スタッフ採用においてまず大切なのが、必要人数の策定です。

必要なスタッフ数は医院の規模によっても異なるため、事前にしっかりと検討することが大切でしょう。

 

医院を始める際に必要な人員は、主に以下のような役割のスタッフです。

 

医院に求められるスタッフの例

  • 看護師
  • 看護助手
  • 医療事務

 

もちろん上記の人員はただそろえばよいというわけでなく、今後経営を続けていくうえではスキルや人柄などに一定水準以上が求められます。

応募者に求めるレベルをコントロールするには、賃金の設定が大切でしょう。

給与を低めに設定すれば応募者は増えますが、その分スキル・人柄共にもう1歩の方も多く応募してくることになります。

一定以上のレベルを担保したいのであれば、賃金設定には気をつけなくてはならないのです。

 

ただし、賃金設定においては、地域相場を基準に考えなくてはなりません。

地域の賃金相場を確認し、そこから高低を検討することで適切な賃金設定をしましょう。

 

採用面接への準備

 

採用面接への準備としては、以下の2点の手配が必要です。

 

採用面接に必要な準備

求人広告の掲載

面接官の手配

 

求人媒体を決めて、求人を行うことで初めて応募者が集まります。

主な求人媒体は、以下の通りです。

 

主な求人媒体

  • ハローワーク
  • 人材紹介会社
  • 広告媒体
  • ホームページへの採用ページ設置

 

ハローワークは無料で掲載できますが、優秀な人材に出会う確率はどうしても低くなってしまいます。

人材紹介会社なら採用の手間がかかりませんが、コストが高く大量採用には向きません。

広告媒体は紙ベースのものでは地域採用に向いていますが、情報量がどうしても限定されます。

ホームページの求人ページは低コストで設置できますが、まだクリニックの認知度が低い場合は採用に結びつきにくいといえるでしょう。

 

また、面接官は院長と税理士、コンサルティング担当者などと3 名ほどで行うのが一般的です。

院長に配偶者がいる場合は、面接官をお願いしてもよいでしょう。

面接官には、応募者に対して礼儀正しくにこやかに接することを徹底してもらいます。

応募者側も医院や上司になる院長の様子を確認していることを、忘れないようにしましょう。

院長ひとりで面接を行うことももちろん可能ですが、どうしても主観が入り込んで人選が偏る可能性があるため注意が必要です。

 

判断基準

 

採用に際しては、判断基準を明確に設けることが大切です。

一緒に医院の顔のひとりとして働く以上、応募者の人柄の確認も大切な要素ではあります。

しかし、フィーリングで採用の是非を判断してしまわないように気をつけなくてはなりません。

経験やスキル、人柄をある程度客観的に判断できるような基準を設けることに努めましょう。

面接官を依頼している人と、判断基準を共有しておくことが大切です。

 

できるだけ誰もが使用できる採点表を用意しておき、合理的な採用面接とすることが重要です。

たとえば、第一印象に関しては以下のような採点基準を設けます。

 

第一印象の採点基準例

  • 表情や身だしなみ、ふるまいに関するもの
  • 声の大きさやトーンに関するもの
  • 言葉遣いや話の内容に関するもの

 

上記の他にも、医院の理念への共感度や経験値などをなるべく客観的にチェックできるように準備することが大切です。

 

質問事項の作成

 

応募者に面接当日質問する内容も、基本的にはある程度用意しておくことをおすすめします。

確認したい基本事項としては、以下が挙げられるでしょう。

 

質問事項の例

  • 志望理由
  • 自身のセールスポイント
  • 自身で考える自分の短所
  • 前職を退職した理由
  • 転職を繰り返している場合はその理由

 

セールスポイントや短所の確認は、自己分析ができているのかのチェックにつながります。

また、前職を辞めた理由といったネガティブな質問は、応募者の内面がよく出るポイントであるため、しっかりと実施しましょう。

 

また、質問をする際には社会的差別につながるような質問をしないように徹底しなければなりません。

本籍や出生地、家族に関すること、宗教・生活信条に関することはもちろん質問してはいけない事項です。

またそれだけなく、尊敬する人や愛読書、購読している新聞なども基本的にはNGです。

 

面接の最後には質問がないか確認する、結論から話をする論理的な会話ができるか確認することなども大切でしょう。

こちらが応募者を見ているだけでなく、応募者もこちらを見ていることを忘れてはいけません。

 

面接のスケジューリング

 

忙しい先生が面接を実施するにあたっては、スケジューリングも事前にしっかりと行っておくことが大切です。

基本的には、以下のような感覚でスケジュールを立てましょう。

 

面接~開業のスケジューリング事例

  • ・開業4か月前~3か月:求人広告媒体の決定、質問事項の原稿作成
  • ・開業3か月前:求人の掲載
  • ・開業3~2か月前:面接の実施
  • ・開業2か月前:雇用契約の締結
  • ・開業1か月前:スタッフ研修、その他準備
  • ・開業後:スタッフの育成、必要に応じた採用

 

忙しいなかでしっかりと開業に向けた動きを取るには、余裕のあるスケジューリングがとても大切です。

上記はあくまでも目安のひとつですが、忙しいことを想定すると上記以上の余裕は確保しておきたいところです。

 

また、人口が少なく募集が集まりにくい地域では、スケジュール感が少し異なります。

より早期から応募者と面談できるように、前倒しでスケジュールを組むことが大切でしょう。

さらに、採用がゴールではもちろんないため、開業後にはスタッフ研修や必要に応じた新たな採用なども行っていくことが必要です。

 

スタッフの研修

 

無事スタッフを採用することができたら、業務にあたってもらう前に研修を実施することも大切です。

クリニック内の決まりや動き方などは、働き始めてすぐに身に付くものではないためです。

短くとも2週間程度は、研修期間を設けるようにしましょう。

 

スタッフ研修において実施したいのは、クリニックにおけるマニュアル・ルールの策定です。

マニュアルを作成しなければ、ノウハウが個人にしか蓄積しないことになります。

そのため、もし熟練のスタッフが辞めてしまうと、新しいスタッフを雇っても患者への対応品質が著しくダウンしてしまうのです。

また、マニュアルは一度作成したら完成というわけではありません。

実際に業務にあたりながら、新しい情報を踏まえて改定していくことが望ましいでしょう。

 

研修の初日には院長より開業に関しての思いやクリニックの理念などを説明し、スタッフそれぞれに自己紹介をしてもらいましょう。

お互いが少しでも働きやすくなるように、交流は少しずつ行っていくようにしてください。

 

クリニックの外装や内装もこだわりましょう

クリニック経営において、患者の皆さんへ良い第一印象を与えることはとても重要です。

スタッフ教育とともに重要なのが、外装や内装です。どのような点に気を付ければ良いか、詳しく知りたい方は、こちらの記事をご参照ください。

医院開業において重要なのは見た目の第一印象

医院開業時のスタッフ採用は重要です!

 

今回は、医院開業時のスタッフ採用について解説してきました。

ご自身の医院にとって最適な人材を採用するための、よい材料となりましたでしょうか?

開業をスムーズに進めるため、しっかりと計画を立てていきましょう。

 

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