医院開業における事業計画書の役割や事業計画の立て方

2021.12.10

医院開業を目指すのであれば、経営を続けていけるように明確な計画を立てていくことが不可欠です。

医院経営も他と同様にビジネスの一種です。

そして事業を始めるうえでの資金計画を明確に練る際に重要なのが、「事業計画書」の作成です。

現実に即した事業計画書を作成することで、ご自身が今後始めようとしている医療というビジネスの全体像を整理・把握できるでしょう。

そのためこの記事では、事業計画書の役割や作成方法について解説します。

 

事業計画書の役割

 

事業計画書とは、事業の内容や収益見込みなどの資金の観点からビジョンを明確化するための書類です。

事業を立ち上げるうえでは資金調達が必要であり、その際に外部機関を説得する資料として、非常に重要だといえるでしょう。

また、事業計画書を作ることで、自身がこれから行おうとしている事業を細かく整理・分析し、見直す機会にもなります。

事業を始めるうえで必須の書類というわけではありませんが、基本的には作成が必要だと考えておきましょう。

 

ただし、事業計画書を作成する際には、会計に関する一定以上の知識が必要です。

そのため、税理士や公認会計士などに相談を行い、フォーマットを作ってもらいながら一緒に作り上げていくことが望ましいでしょう。

 

事業計画書の作成項目

 

医院開業時の事業計画書には、以下のような項目を記載します。

 

作成項目

  •   ・総事業費
  •   ・資金調達
  •   ・減価償却
  •   ・人件費明細
  •   ・収入明細
  •   ・経費明細
  •   ・年度別損益計算
  •   ・初年度損益計算
  •   ・借入利息計算

 

上記を整理して損益分岐点を出し、損益分岐点が推定外来数の70%以下か否かを確認しましょう。

もし損益分岐点が推定外来数を上回っていては、想定通り運営を進めても利益が出ず赤字になってしまうためです。

事業計画書を作成することで、ご自身が考えている事業の採算がとれるのかを具体的にシミュレーションすることができます。

 

総事業費

 

以下の費用について算出し、記載します。

 

総事業費の記載事項

  •   ・不動産購入費
  •   ・建築費
  •   ・不動産賃貸借費用
  •   ・内装費
  •   ・内装管理費
  •   ・医療機器購入費用
  •   ・什器購入費用
  •   ・広告宣伝費
  •   ・雑費
  •   ・予備費用
  •   ・火災保険料

 

ここで算出された合計額が、開業にあたって資金調達すべき金額となります。

あくまでも案であり金額を確定することは難しいため、概算で記していきましょう。

 

資金調達

 

資金調達の方法としては、基本的にどの事業でも「自己資金」と「借入金」の2つが基本項目になります。

先ほど算出した開業にかかる総コストから、自己資金を引いた金額が借入金額になるのが基本です。

つまり、自己資金が少なければ、それだけ多額の借り入れをしなくてはならないということになります。

借り入れは、多めに行うのが基本です。

ただしあまりに借入金額が増えすぎると返済が難しくなることもあるため、しっかりと計画しましょう。

 

減価償却

 

ここでは、先ほど算出した以下のような費用に対して、償却率をかけて減価償却を実施します。

 

減価償却する費用

  •   ・建築費
  •   ・内装工事費
  •   ・医療機器購入費用
  •   ・什器等購入費用

 

減価償却とは、上記のような建物や機器などの固定資産にかかる費用に対して行います。

減価償却は会計上の考え方であり、損益計算書においては経費とみなされますが、実際に資金が減るわけではありません。

そのため、この分をローン返済の原資にするといった動きが想定されます。

 

人件費明細

 

ここでは、医師や看護師、事務員などのスタッフを雇うためにかかる費用を整理します。

各スタッフを常勤と非常勤に分け、月額給与をかけて人件費を算出しましょう。

ここで算出されたものに間接費とボーナス分を加算しすることで、トータルの人件費が算出されます。

毎月かかる固定費として大きな部分であるため、業務上の必要性とバランスをとることが非常に大切です。

 

収入明細

 

収入明細は、保険外来収入と自費外来収入の合算で算出します。

保険外来収入は、1日あたりの想定外来数により、患者数に診療日数と診療単価をかけて算出できます。

経営を続けていくうえで、収入の目途を客観的に整理できるかどうかは非常に重要な要素だといえるでしょう。

 

経費明細

 

経費明細では、医院の運営においてかかる費用を整理して合計していきます。

ただし経費には医療材料費や家賃などのわかりやすいものから、非常にこまごまとしたものまで幅広くあるため、全てを想定して記載するのは事実上困難です。

そのためここでは、支出が多い代表的な経費をピックアップして記載するようにしましょう。

 

年度別損益計算

 

年度別損益計算は、文字通り年度別に分けて収入と経費を算出し、利益を算出する工程です。

原則として、税引き前の利益を出します。

算出された数字に税率を乗じて税金を引くことで、税引き後の利益が導き出せます。

さらにこの数字に減価償却費を足すことで、返済原資が確認可能です。

 

初年度損益計算

 

初年度に関しては、1か月単位で損益を算出します。

黒字化までにどれだけの月を必要とするのか見通すことが、この工程での重要な目的です。

そして黒字化までの期間をどれだけ短くするのかを検討し、事業計画を練っていくことも重要でしょう。

 

借入利息計算

 

毎月返済するローンにおける、元本と利息の支払い状況をチェックすることが目的です。

単純ではありますが、多額のローン借り入れを行うだけ、運転資金には余裕がなくなります。

 

医院開業におけるキャッシュフローについて

事業計画を立てた後に知っておきたいことは、医院経営におけるキャッシュフローを理解しておくことです。

黒字倒産が起きないように、利益とキャッシュの違いを理解しておくことが重要です。さらに詳しく知りたい方は、こちらの記事をご参照ください。

医院開業におけるキャッシュフローの重要性

 

医院開業における事業計画書について理解を進めましょう

 

いかがでしたでしょうか?

事業計画書は、ご自身の経営計画を具体的に立てるうえで重要ですので、現実に即して具体的に作成しましょう。

 

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